
カスハラとは?――日本で働く外国人が知っておきたい顧客対応と職場のルール
日本で働いていると、「お客様を大切にする」「丁寧に対応する」という考え方を耳にすることがあります。しかし、お客様からの要求をすべて受け入れなければならないわけではありません。
大声で怒鳴る、従業員を長時間拘束する、何度も謝罪を要求するなど、行き過ぎた言動によって働く人の職場環境が悪くなることがあります。こうした行為を「カスタマーハラスメント」、略して「カスハラ」と呼びます。
2026年10月1日から、カスハラを防止するための措置が事業主の義務になりました。日本で働く外国人にとっても、知っておきたい職場のルールです。
カスハラとは?
厚生労働省によると、職場におけるカスハラとは、顧客などの言動が、仕事の内容などから考えて社会通念上許される範囲を超え、その結果、労働者の就業環境が害されるものをいいます。電話やSNSなど、インターネット上での行為も含まれます。
ここで大切なのは、顧客からの苦情がすべてカスハラになるわけではないということです。
例えば、商品に問題があったとき、「注文した商品と違います。確認してください」と伝えることは、通常の正当な申し出です。一方、問題を解決するために必要な範囲を超えて、暴言や脅迫をしたり、過度な要求を繰り返したりする場合は、カスハラに当たる可能性があります。
どんな行為がカスハラになる?
カスハラにはさまざまなケースがあります。
例えば、大声で怒鳴る、従業員を侮辱する、脅迫する、土下座など過度な謝罪を求める、長時間にわたって拘束する、同じ要求を何度も繰り返すといった行為です。
暴力や物を投げるなど、身体の安全を脅かす行為もあります。また、SNSなどで従業員の名前や写真を公開すると脅すなど、インターネットを使った行為も問題になる場合があります。
外国人従業員の場合、日本語が十分に分からないことを理由に強い言葉で責められるケースも考えられます。しかし、日本語が母語でないことを理由に、不当な要求を我慢しなければならないわけではありません。
クレームとカスハラの違い
日本で働く外国人が覚えておきたいのが、「正当なクレーム」と「カスハラ」の違いです。
例えば、ホテルの部屋に問題があった場合、「エアコンが動きません。確認してください」と伝えることは正当な申し出です。
しかし、その問題を理由に従業員を長時間拘束したり、人格を否定する言葉を浴びせたり、必要以上のお金を要求したりすれば、カスハラに当たる可能性があります。
つまり、「お客様だから何を言ってもよい」ということではありません。顧客と従業員の双方が、お互いを尊重することが大切です。
日本で働く外国人が困ったときは?
顧客から苦情を受けたときは、まず相手の話を落ち着いて聞き、事実を確認することが基本です。
しかし、自分一人で解決しようとする必要はありません。日本語がよく分からない場合や、要求が正当なものか判断できない場合は、「確認しますので、少々お待ちください」と伝え、上司や責任者に相談しましょう。
暴言、脅迫、暴力などがある場合は、一人で対応を続けないことが重要です。身の危険を感じた場合は、安全を最優先にしてください。
また、いつ、どこで、誰から、どのようなことを言われたのか、日時や内容を記録しておくと、会社に相談するときに役立ちます。
2026年10月1日から企業のカスハラ対策が義務に
2026年10月1日から、改正された労働施策総合推進法により、事業主にはカスハラを防止するための措置が義務付けられました。
厚生労働省の「カスタマーハラスメント防止指針」では、企業に対して、主に次のような対応が求められています。
・カスハラに対する会社の方針を明確にし、従業員に知らせる
・従業員が相談できる窓口や体制を整える
・カスハラが起きた場合、事実を確認して適切に対応する
・カスハラを防ぐための取り組みを行う
つまり、カスハラへの対応を従業員一人だけに任せるのではなく、会社として従業員を守る仕組みをつくることが求められています。
「丁寧な接客」と「我慢すること」は違う
日本で働く外国人にとって、丁寧な顧客対応は大切な仕事の一つです。しかし、丁寧に対応することと、不当な要求を我慢することは同じではありません。
正当な苦情には誠実に対応し、行き過ぎた要求や暴言、脅迫などを受けた場合には、会社のルールに従って上司や相談窓口に相談しましょう。
カスハラ対策は、顧客を大切にしないためのものではありません。顧客と従業員の双方が安心してサービスを利用・提供できる環境をつくるための取り組みです。
日本で働く外国人も、「困ったときは一人で抱え込まず、会社に相談してよい」ということを知っておきましょう。
参考
厚生労働省 「職場におけるハラスメントの防止のために」
中国語
什么是“顾客骚扰”?—在日本工作的外国人需要了解的顾客应对与职场规则
在日本工作时,经常会听到“要重视顾客”“要礼貌地接待顾客”等说法。但是,并不是顾客提出的所有要求,工作人员都必须接受。
例如,大声斥责工作人员、长时间纠缠不休、反复要求工作人员道歉等,如果顾客的言行超出了合理范围,给工作人员的工作环境造成影响,就可能属于“顾客骚扰”。
日语中称为“カスタマーハラスメント”,简称“カスハラ”。从2026年10月1日起,企业经营者有义务采取防止顾客骚扰的措施。对于在日本工作的外国人来说,这也是应该了解的一项职场规则。
什么是“顾客骚扰”?
根据日本厚生劳动省的说明,如果顾客等人的言行超出了根据工作内容等情况来看社会上通常可以接受的范围,并因此损害劳动者的工作环境,就可能构成顾客骚扰。
需要注意的是,并不是所有顾客投诉都属于顾客骚扰。
例如,如果购买的商品存在问题,顾客说:“这不是我订购的商品,请帮我确认一下。”这种行为通常属于合理的投诉。
但是,如果顾客为了处理一个问题而对工作人员进行辱骂、威胁,或者不断提出超出合理范围的要求,就可能属于顾客骚扰。
哪些行为可能属于顾客骚扰?
顾客骚扰有很多不同的形式。
例如,大声责骂工作人员、侮辱工作人员、进行威胁、强迫工作人员下跪道歉、长时间纠缠工作人员、反复提出相同要求等,都可能属于顾客骚扰。
此外,实施暴力、向工作人员扔东西等威胁人身安全的行为,也可能构成严重的骚扰。
通过电话进行辱骂、威胁,或者在社交媒体上威胁公开工作人员的姓名、照片等,也可能成为问题。
对于外国员工来说,有时可能会因为日语水平不够而受到顾客的严厉指责。但是,因为日语不是自己的母语,并不意味着必须忍受不合理的要求。
正常投诉和顾客骚扰有什么区别?
对于在日本工作的外国人来说,了解“合理投诉”和“顾客骚扰”的区别非常重要。
例如,在酒店住宿时,如果空调不能正常工作,顾客说:“空调坏了,请帮我检查一下。”这是合理的投诉。
但是,如果因为空调的问题而长时间纠缠工作人员、使用侮辱性语言攻击工作人员,或者要求支付与实际损失没有合理关系的额外费用,就可能属于顾客骚扰。
也就是说,“顾客是上帝,所以什么都可以说”并不是正确的理解。
顾客和工作人员都应该互相尊重。
在日本工作的外国人遇到问题怎么办?
当顾客提出投诉时,首先应该冷静听取对方的意见,并确认事实。
但是,并不需要一个人解决所有问题。如果听不懂日语,或者无法判断顾客的要求是否合理,可以说:
“我需要确认一下,请稍等。”
然后向上司或负责人咨询。
如果遇到辱骂、威胁甚至暴力行为,不要继续一个人处理。特别是在感觉自身安全受到威胁时,应该首先确保自己的人身安全。
此外,还可以记录事情发生的时间、地点、对方是谁以及对方说了什么。留下这些记录,在向公司报告或咨询时会很有帮助。
从2026年10月1日起,企业必须采取顾客骚扰对策
从2026年10月1日起,根据修改后的《劳动政策综合推进法》,企业经营者有义务采取防止顾客骚扰的措施。
根据日本厚生劳动省公布的“顾客骚扰防止指针”,企业需要采取包括以下内容在内的措施:
・明确公司应对顾客骚扰的基本方针,并告知员工
・建立员工可以咨询和求助的窗口及体制
・发生顾客骚扰时,对事实进行确认并采取适当措施
・采取措施预防顾客骚扰,并防止类似问题再次发生
也就是说,遇到顾客骚扰时,不应该只是让员工一个人处理,而是需要由公司建立保护员工的制度和体制。
“礼貌接待顾客”和“忍受不合理要求”是两回事
对于在日本工作的外国人来说,礼貌地接待顾客是工作中的重要内容之一。但是,礼貌地服务顾客,并不意味着必须忍受不合理的要求。
面对合理的投诉,应当认真、诚恳地处理;如果遇到超出合理范围的要求、辱骂或威胁,则应该按照公司的规定,向上司或咨询窗口寻求帮助。
顾客骚扰对策并不是为了不重视顾客,而是为了创造一个让顾客和工作人员都能够安心接受和提供服务的环境。
对于在日本工作的外国人来说,也应该知道:
遇到问题时,不必一个人默默忍受,可以向公司寻求帮助。
参考资料
日本厚生劳动省 《职场中的骚扰防止措施》