【賃貸住宅の防災】今注目を集めている「感震ブレーカー」とは?
コロナ禍のリモートワーク普及に伴い、賃貸住宅では防音や広さが求められるようになりました。このように、賃貸住宅に求められる条件は年を追うごとに高くなっています。防災もその一つです。(株)リクルートが実施した「賃貸契約者動向調査(首都圏)」(2022年)によると、魅力を感じるコンセプト住宅1位は「防災賃貸住宅」でした。
賃貸住宅の防災アイテムの中でも特に注目を集めているのが感電ブレーカーです。賃貸で住まい選びをするならぜひ覚えておいてほしいアイテムです。そこで今回の記事では、感震ブレーカーについて解説します。
賃貸の防災力に関わるアイテム「感震ブレーカー」とは?
感震ブレーカーとは、強い揺れ(地震5強相当)を感知すると自動的に主幹ブレーカーを落として電気を遮断する装置のこと。この働きによって電子機器や白熱灯、増設タップのショートからの出火を防いでくれます。
通電火災を防ぐ役割があることも注目されている理由です。地震発生後は停電となり、しばらく期間が空いてから復旧されますが、この時に火災が起こってしまったケースが多数報告されています。例えば、東日本大震災の本震による火災のうち、原因が特定されたのは108件でしたが、その過半数が電気関係の出火といわれています。記憶に新しい能登半島地震での火災も、電気に起因した火災である可能性を示唆されています。
これらのことから、感震ブレーカーは欠かせない防災設備として注目を集めています。
感震ブレーカーは全部で3種類
感震ブレーカーは3タイプあり、自分で後付けが可能なものもあります。自宅の分電盤のタイプや予算に応じてピッタリなものを選んでみてください。
分電盤型
分電盤に取り付けるタイプで、内蔵型と後付け型があります。違いは以下のとおりです。
・内蔵型:分電盤に内蔵されたセンサーが揺れを検知して主幹ブレーカーを落とす。屋内全ての電力供給が止まる。価格は約5〜8万円。
・後付け型:分電盤に感震センサーを外付けするため漏電ブレーカーがある場合に設置可能。内蔵型も後付け型も遮断までの時間に3分程度要する。設置には電気工事が必要。価格は2万円程度。
コンセント型
コンセント型には、特定機器遮断型と一括遮断型があります。違いは以下のとおりです。
・特定機器遮断型:内蔵センサーが揺れを検知して設置したコンセントからの通電を遮断する(遮断範囲は選択した機器のみ)。
・一括遮断型:センサーが揺れを検知し、疑似漏電を発生させてブレーカーを切ることで通電を遮断。特定機器遮断型は遮断まで時間はかからず電気工事は不要。製品によって遮断時間も電気工事の有無も異なる。価格は、約5,000〜2万円。
簡易型
簡易型は補助的な器具で、分電盤にばねやおもりを設置するタイプです。地震の揺れによる落下でブレーカーを切ります。
遮断までの時間は製品によって異なります。電気工事は不要です。価格は3,000〜4,000円程度。簡易的なもののため、信頼性にばらつきあり。分電盤の形状によって取り付けが難しい場合がある。
感震ブレーカーのデメリット
感震ブレーカーのデメリットには以下が挙げられます。
・工事が必要なものは設置するまでに時間がかかる
・導入費用がかかる
・誤作動が起こる可能性がある
・電気供給を遮断するまでに時間がかからない製品は即座に照明類が消える
感震ブレーカーはメリット・デメリットがあります。どちらも知った上で感震ブレーカーがある賃貸住宅を選ぶと良いでしょう。この記事が参考になったなら幸いです。